2015年6月29日 (月)

河本おさむ「セメント殺人」58年 青虫四度26

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中村書店5/10発行、130円、B6判128P

競馬場でかけが行われていて、だんなが目当ての馬を勝たせたら100万円渡す約束をしていた
勝って300万のもうけだが、100万円も惜しくなり、ダニ松に奪い返すよう指図する
話は、ここまでに到る経緯が描かれる
殺人請負の悪役黒岩剛造は、探偵作家百足三太郎をさらってきて自宅地下にコンクリート生き埋めにする
依頼人は百足から200万円を借りていた権造
黒岩は続いて、夜行列車での暗殺、ガス心中に見せかけた殺人と残酷な手口で仕事をする
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競馬場で馬をすくませ、有利な順位にしようと、アメリカから銃の名手キラーを呼び寄せる
黒岩がキラーを連れ、キャバレー海猫で遊んだとき、土地の愚連隊の若い者ともめ始める
たまたま、編集長を下ろされやけ酒を飲みに来た荒山も後輩の時雨くんを誘ってキャバレーにいた
けんかが撃ち合いとなり、荒山は警察を呼ぶが、時雨くんが間違われて黒岩一味の車に乗せられてしまう
ガソリンをかけ焼き殺されるところ、黒岩の娘小夜が止めて、手下になる条件で監禁される

そんな時、黒岩の屋敷が区の地下道工事で立ち退きを余儀なくされる
セメント殺人がばれないよう、ほりだして処分するが、工事の者が、人型が残るのを怪しむ
警察が掘ってみると百足氏の名刺が出てくる
ここで話が冒頭の競馬場に戻る
キラーが撃った銃にひるんだ馬のため、順位は番狂わせ
依頼人が払った100万円を取り返すため、ダニ松一家が黒岩の五人組を襲わせる
ダニ松たちはキャバレーで黒岩たちとやりあった連中だから、その時の怨みを晴らそうと、大乱闘、撃ち合いとなる
警察がかけつけ、一味は捕まるが、密告したと思われ時雨くんは撃たれて死んでしまう

刑事が撃たれたと警察に連絡した小夜も、黒岩に射殺される
黒岩は実の父親ではないと平然と撃つのだが、なかなかむごい展開
セメント殺人の手口は一度しか出てこないので、タイトルに違和感がある

長岡良子「夢の奥城(おくつき)」87年

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「ボニータ」9月~12月連載、秋田書店単行本で読む

天智天皇の后倭姫の人生を描いた作品
冒頭、天皇崩御時に詠まれた一首がのる
 人はよし思ひ止むとも玉鬘 影に見えつつ忘らえぬかも

大化の改新で後ろ盾を失い、吉野に逃れたが中大兄皇子に討たれた古人皇子
その娘が倭姫、仇中大兄皇子の世話になって宮に居場所があることを知って身を投げようとして果たせない
皇子と知らずに野で出会った中大兄には引かれるところがあったが、自分の野望のために政敵を葬り去る冷酷さを恐れるばかりだった
愛した有間皇子も皇子の手に落ちてしまった
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皇子は倭姫を慕っているのか、宮中でもとりわけ大事に扱う
その事実を額田王に指摘され、皇子も苦しみの中にあると聞く
新羅軍との戦いは困難を極め、頼りの鎌足に死なれて落胆の表情を見せる皇子を見て、倭姫は厳しさを見せることで激励する
館が失火した時、姫には逃げるチャンスであったが、皇子のもとにとどまる道を選ぶ
これ以後、皇子と姫の心が通じ合うようになる

近江に都ができると倭姫は皇后となる
しかしやがて天皇が崩御し、大津皇子勢は、大海人皇子勢に敗れ、近江宮からの遷都が始まる
倭姫は最後を見届けて新都に向かうと居残り、人知れず湖に身を投げる

倭姫が、父母の敵、恋人の仇でありながら、中大兄皇子に添うようになるいきさつを説得力ある美しい筆致で描いた

上山路夫「コンドル魔島 コングの逆襲」48年(プランゲ文庫)

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11/20発行、80円、96P
「コングの猛襲」の続編
北村博士にスミス博士がコンゴの死体が見つかったという
光線砲でコングが生き返るのではないかというので南の島で光線を浴びせる
ヤス子が頭が痛いというので芳男が連れ出すと、どくろ怪人が一人乗りの小型ヘリで現れる
まだどくろ隊がいるのがわかったので、探険隊を作ってどくろ隊の本拠地を探す
ジャングルでは猿人が襲ってきて、剣竜もいる物騒なところ
ミラーと芳男が探検隊からはぐれ
本部では、Z号(最新鋭飛行機)がどくろ隊の二機に攻撃を受ける
今度は飛行機で捜索に出て、湖付近に本拠地を発見する
近くの草原に降りたところ、一人ヘリに乗ったどくろ隊がやってくる
人数でかなわないと思っていたが、探検隊の残りもかけつけどくろ隊を退治する
はぐれたミラー・芳男も合流し、さらに奥地を5人が偵察機で探る
土人につかまるが、白人女王が支配する王国だった
コングのありかを問う女王は、元A国人
15歳の時、巨大コンドルにさらわれ、島へ連れてこられたのをコングが救う
以来、コングと親しくなり、王の養女となった
守り神でもあったコングがいなくなると、どくろ怪人が襲撃し城を奪われた
今はコングの石像を祭りよりどころとしているという
5人が戻ると、コングをよみがえらせる実験はうまくいっていたが、コングが消え去っていた
その頃、コンドルが王国の村を襲っていたが、戻ったコングがコンドルを追い払う
コンドルを追って、今はどくろ隊のものとなった古城に向かう
コングが城からどくろ隊を追い払うと、芳男たちも協力して海へ追い出す
どくろ隊は海上に現れた潜水艦に乗り込もうとするのをZ号が砲撃して沈める
暴れるコングは女王を見ると落ち着いて従った
カムラン国に平和が戻り、島もコングを迎えて静まった

沖縄:喜納昌吉「ブラッド・ライン」80年

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アップテンポ「ジンジン」からはじまる
津軽三味線を存分に響かせ、かけ声も素晴らしい傑作
ギターのスライドもよくなじみ本当にチャンプルー音楽になっている
続いて「ハイサイおじさん」風の「あきさみよ」
ユーモラスに仕上げながら風刺がきく
80年頃のアジアを代表するバンドの筆頭と考えてもよいほどの水準を放っている
「ニライカナイ」の沖縄歌曲や「アイヤーホイ」といった民謡もドラム・ベースで強化され現代風のアレンジが効いている

LPが商業ベースを離れ、結晶した数少ない例
B面冒頭の「すべての人の心に花を」はアジア各地で取り上げられるようになった
この曲は沖縄が生んだ20世紀最高の曲になろう
日本でこれほど土着的な曲は生まれたのか

そのスローな味わいだけでなく、各所で聞かれるカチャーシーの爆発も壮絶

2015年6月28日 (日)

小沢さとる「捨身の一平」58年 青虫四度25

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あかしや書房、58年のはじめの頃の発行

唐須平八と拳法の練習に励む一平
二人は勝負がつかず、別々に旅に出、東京をめざす
茶屋で一平は二人の侍にいいがかりをかけられ戦うこおtに
二人を倒すと、通り合わせた小次郎が挑む
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勝負を唐須が預かり、一平と勝負する
ここでも引き分けとなって、一平は東京の岩井国兵衛に弟子入りする
道場の先輩、本城を倒す腕前の一平に先生も技で教えるはない、心の修業をしろと言う
その本城源三郎は負けた腹いせに、一平に果たし合いを挑む
明正寺での勝負に一平は勝ち、現れた小次郎も倒す
唐須といよいよ決着を付けるとき
一平は切られるが、唐須が石段から落ちて負ける
勝っても満足を得られないと悟った一平は、岩井先生が諭したように心の修業をしようと思う

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