2015年5月28日 (木)

近藤ようこ「遠くにありて」87年

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ビッグコミック」4月号~90年10月号連載 全19話
小学館文庫で読む

東京の大学を卒業し、東京で就職できず、元教師の父のコネで故郷の私立美園高校につとめることになった中山朝生(あさみ)
実家からも通えるがあえて、下宿し、一年後には東京に戻るといきごんでいる
第一話はヒロインが田舎への嫌悪感をあらわにする
下宿は一軒家に一人住むばあさんのところ、夕食は一緒に食べてくれといわれ、うっとうしいと思う

大学の仲よし三人組、紀子は丸の内の商社(その後職場結婚して九州へ)に就職、香織は小さな出版社でがんばっている
第四話、盆の同窓会でやはりUターンして実家の酒屋をつぐ西崎くんと再会する
しかし、田舎のおばさんになるなんて考えられない

第六話、正月、大家のおばあちゃんのところに子供達が帰省する
彼等は財産分けでいがみあう仲、それがおばあちゃんが一人で住む理由だと読者に明かされる
十二話では、おばあちゃんが近くのおじいさんと仲良くよもぎとりをする
意外に思う朝生だが、かつて許嫁であった彼は戦地でなくなったと思われ、結婚した彼女がよもぎを摘むところで再会したと聞かされる
誰にでもある特別な時、人生の不思議さを朝生は思う

田舎での暮らしが三年目になり、香織から地方紹介の記事をうけおってはりきる
小さな出版社の口があると香織が最後の東京へ出るチャンスを与えてくれたが
仕事を続ける条件で西崎くんとの結婚を決意し、田舎で暮らすことに
「結婚をやめたらもっと後悔する」という気持ちが朝生を押したのだ
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この結末は第一話から見るとかけはなれているけれど
何がなんでも東京へ行く、とどまるという朝生の行動が見られなかったので自然といえば自然のなりゆき

佐々良五郎「拳骨和尚」49年(プランゲ文庫)

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児訓社9/10発行、40円、B6判横置き36P
これもポケット漫画
備後の国の瀬戸物屋の息子源太郎は怪力
腹いっぱい食べられるというので済法寺の小僧になる
鐘が落ちた時、一人でかつぎあげるという怪力を出す
学問も熱心で25才で諸国修行に出て、戻って和尚がなくなると住職となる
貧しい村で喜捨を募ろうと旅に出て京都へ
四条の橋で丁稚が泣いているのを見て、話を聞くと刀商の丁稚
120両の代金を新撰組が払わず追い返されたと困っていた
乗り込んだ源太郎和尚(拳骨和尚)は刀を持つやつをみつけ、挑む
振りかざす刀をお椀で受け奪い返すが
組長の近藤勇が現れ、相手をすると押される腕前
そこへつぶてを投げて救ったのが桂小五郎
新撰組の10数名を投げ飛ばして逃げ延びる
拳骨和尚は橋で思案し、喜捨もままならず寺へ帰ろうとする
橋の下から乞食が声をかけ、見ると助けてくれた小五郎の変装
小五郎の故国へ手紙を届けるように頼まれ引き受ける
捕り手が来るので和尚は走って京都を去ってゆく

バロック:ヴィヴァルディ「フルート、オーボエのための協奏曲集」

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イソリスティ・ヴェネティの演奏で協奏曲が6つ
フルートはジャン・ピエール・ランパル、オーボエはピエール・ピエルロの当時の名手
やわらかい曲調にこの楽団がよくあっている

冒頭P261は「海の嵐」として知られる曲で激しい曲想から始まる名曲
これがフルート、オーボエ、ファゴットのための協奏曲

続いてP53が二つのオーボエのための協奏曲
P406がオーボエとヴァイオリンのための
P342が「海の嵐」と同じ楽器のため、同じ作品集10の続き「夜」のタイトルで知られるもの
P442のみ弦楽と通奏低音のための協奏曲
最後にP81、フルート、オーボエ、二つのヴィオリンのための協奏曲

P53やP422も印象的
ヴィヴァルディはきれいな曲が多く、聞いていて楽しい作曲家だ

2015年5月27日 (水)

榎本書店・榎本法令館

戦前赤本の実態をさぐるため、榎本発行の書籍にあたってみる
文学館に榎本書店の本は多いが、多くは大正から昭和初期にかけての「正ちゃんシリーズ」、あるいは絵本
1932年から1940年1月発行の「忍術隠密」まで所蔵は十冊のみ
その後は絵本ばかりとなる
十冊のうち「源義経」と「大名五郎蔵」は小説のようで閲覧せず八冊申し込んでみた

「ニコニコエホン タコのオバケ」    32年4月 榎本松之助作画 B5判12P総カラー
「マンガブック豪傑強助 義侠の巻」    33年4月 榎本進一郎作画 B5判16Pハードカバー 20銭
「アメン坊漫遊脱線修行」日本一のマンガ帖34年1月 榎本松之助作画 B6判横置き64P
「ミッキーベティの探検」コゴモ漫画    34年4月 榎本進一郎作画 B7判64P 5銭
「オトギエホン 金太郎」        34年6月 榎本松之助作画 B5判12P総カラー
「水戸黄門 東北江戸の巻」活劇マンガ文庫35年2月             B7判より少し縦長12P総カラー 
「ター公ノ大殺陣」日本一マンガ        37年12月         B6判横置き64P
「忍術隠密 仁王太郎」            40年1月 榎本進一郎編集  B7判より少し縦長222P

「オトギエホン」は絵本で、「仁王太郎」は読み物
残りの6冊が漫画だが、形態が思ったより多様だった
「ミッキーベティ」は値段があるが、大きさから見て玩具本に違いない
値段があるから書店で売っていたとは限らないようだ
もう一つ値段がある「豪傑強助」は外側が講談社の絵本のように堅く、中の紙も厚紙を二枚あわせてある
一枚目が白色、二枚目が青色、次は逆にして、紙の色が白・青・白・青と2Pずつ見開きになるように工夫してある
これ講談社の絵本からいうと、値段も半分以下、頁数も1/3
本屋で売っていない可能性も高い
他はどれも値段の記載がなく、大きいサイズは薄く、小さいサイズはページ数が多い
榎本書店、法令館(どちらも住所は南区松屋町39)の漫画は玩具本として製造され、単行本に近いものも露天・駄菓子屋用だったと思える
はじめの五冊は文学館のリストでは榎本作画(進一郎は昭和になって出てくるので創始者松之助のこどもでしょう)となっているが
本に記載がない 「豪傑強助」のみ桐生シロウとある
「タコのオバケ」はアクの強い絵柄で、標準的なこども漫画らしい「アメン坊」と作者は違う
 表表紙・裏表紙の裏側にも漫画が載るので内容は14Pとなる、7話ありいずれも9コマで同じ作家
 スモウトリ/トリトテッポウ/エビスダイコク/デコボウノユメ/タコノオバケ/キツネノオバケ/タマテバコ
 タイトル作、「タコノオバケ」とは大きなタコを斬り捨てた侍、頭が体に乗って、下に人間の足が出ているような風体となる
 それを見た少年(これが現代の姿だから変)が化け物だとかかるが、頭を取ると普通の侍で安心したというもの
「ミッキーベティ」は外国漫画に似せているので作者のくせはわからない
「水戸黄門」「ター公」は手慣れた漫画家が描いているようだ、人物の目を白くしておく絵柄

士郎正宗「アップルシード3、4」87年

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それぞれ、「プロメテウスの小天秤」・「大天秤」の副題を持つ

1巻、2巻で話題の人・バイオロイド問題は、エルビス計画の実施でいったん収まっている
野生的なバイオロイド、アルテミスがポセイドンから逃げ出したのをニューヨークで回収するという話からはじまる
麻酔で眠らせたはずが輸送中あばれ、ブレアレオス、デュナンが追うが逃げられる
警察は二人を疑い、ドリスと吉野をeswatへ潜り込ませる

esuwat隊は、フランスで麻薬組織をたたく
この組織は人身売買をしていてより大きな事件に発展しそうだが、この話はいったんここで切れている
3巻目の終わりでは、アルテミスを吉野が捕獲、アルテミスには大きな機密が隠されているらしい
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4巻目では、巨大な甲殻ボディを作ったスレイド教授
ムンマ(イスラム帝国)がボディをがオリンポスから運び出そうとしていた
これを阻止する攻防戦がこの巻の内容となる

話はさまざまな国際問題に立ち向かうブレアレオス・デュナンコンビに移って、壮大な世界観は失われてしまった
物語の収拾が難しいのか、5巻は出ないままの様子

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