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2016年11月30日 (水)

辰巳よしひろ「33の足跡」55年

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日の丸文庫60番、130円、B6判128P
佐藤さんの「空手を使う男」が55年10月頃の出版なので、20番早いこの作品は55年前半とわかる
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赤いこうもりのいれずみに驚いた運ちゃんが車をぶつける
5日後、橋で男が殺され「赤いいれずみの男」と死に際に言い残す
風間探偵がその真犯人を暴く
東西大学教授のドブ川散歩氏が以前出した小説「鬼」が事件と全く同じ
風間が問い詰めると、教授は逃げ出し、屋上から飛び降りて死んでしまう
教授の残した「お前も呪われて悪魔になる」という言葉が風間から離れないのだが
興奮すると手の甲に現れるこうもり型の赤いあざ
なんと風間探偵の甲にもそのあざが・・

教授は死んだのに赤いいれずみ男事件が再び起こった
木の上サーカスの副団長が幕の後ろから刺される事件、ナイフを持つ手にはこうもりのあざがあるのをピエロが目撃した
幕の後ろにいた怪しい男は33の足跡を残した

風間探偵の友人、一本杉くんが探偵を訪れる
彼の姉英子さんが風間探偵と恋仲で特に親しい間柄なのだが、探偵の甲にこうもりのあざを見る
そこで見張っていると、変装して出てゆくので後をつける
一本杉が気づくと探偵が自分の後ろにいて、犯人がわかったとサーカスへ誘う
サーカスの猛獣使いが犯人、知られたと探偵に猛獣をけしかけるが
猛獣は警察官の着ぐるみ
図らずも犯行を自白した格好になる
自分を叱る副団長に腹をたて、赤いいれずみ男になりすましての犯行
サーカスに絞られないよう、夜にいれずみ男になって別の人を襲ったりして迷わせていたが
探偵が踏んだ水たまりに赤いインクが混じっていたので偽の赤だとわかったのだと種明かし
Tatumi_33no_15
ところが、このとき、探偵の甲に赤いあざが現れるのを、警察の面々以下、やってきた英子さんも見る
探偵のばあやが現れ、坊ちゃんはドブ川様の息子だと証言する
奥様がなくなり、ご主人が発作を起こすようになり、将来を考えてばあやが風間として育てることになったとわかる

後日談
赤いあざや異常な興奮は青春期になると出る遺伝だとわかる
治療で治る可能性もあり、彼はアメリカへ旅立つ
別れの時、英子はあなたを待つと伝える

絵はほのぼのとした絵柄だが、内容がすぐれている
探偵と教授の関係に全く気付かれないのは少し不自然だが、その他の展開はよくできていて
後日談もしんみりさせる
さらにこの話全部が映画の内容というしゃれた仕立てになっている
まだ劇画段階に入っていない時期だが、55年ころの辰巳さんは一等抜きんでた作品を発表し続けていた

辰巳さん生前に再販された「黒い吹雪」だけでは、このニュアンスがわからなかったのが残念

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