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2016年11月26日 (土)

水樹和佳子「イティハーサ」86~99年

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「ぶーけ」に中断をはさんで連載され、最後は単行本に書き下ろされた
早川書房文庫版全7巻で読む

時代は古代、見えない神が姿を現さなくなった時代で人々は亜神か威神に頼って生きている
亜神は人々を癒し、平安を与える、威神は人々の欲望を引き起こし、暴力に快楽を見出させる

目に見えぬ神を信奉する小さな村で真言告(みことのり)の修行を積む青比古
腕力はないが静かに世界を見通す
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ある日、青比古とその弟分ともいえる鷹野は川に流れ去れる赤子を拾う
村のみなで真言告をとなえ命を救う
その赤子が成長して透祜(とうこ)という少女となり才能が認められ、青比古から真言告のわざを学ぶ
村は威神、鬼幽の一派に滅ぼされ、逃げ延びた三人は亜神、律尊に仕え威神を追って旅する桂(女武者)たちに出会う
一行の中で一番の剣の使い手一郎太が、力に頼り青比古を脅す不気味な人物

律尊様が留守をしている間に、威神の一団に襲われる
一団には透祜の片割れ、夭祜(ようこ)がいて、第2巻半ばで透祜はあっけなく刺し殺される
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ただ、透祜の魂が夭祜の中へ入り、透祜の意識がリードしていく
鷹野も傷を負ってつかまる

3巻目では、鬼幽一群から逃走した鷹野が青比古・桂たちと合流する
鷹野は背中から羽根が生え、特異な体質・能力が発現する古代の真魔那の末裔だとわかる
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威神の軍勢が青比古たちが世話になる村を襲い、青比古は陰石の真言告で守るが力つき威神軍に連れ去られる

4巻目、鷹野は桂たちとともに亜神天音(あまね)が治める不二をめざす
同じく威神の中心ともいえる鬼幽の一軍も不二をめざす
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5巻目、不二には強い結界があるため鬼幽の一軍といえども容易に近づけない
また、人でもなく神でもない夜彲王(やちおう)という龍に乗り、威神たちを消し去る者も彼等の妨げとなっていた
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6巻目、不二には空子都(くすと)という古代アスカ大陸の生き残りがいた
空子都は遺伝子操作によりさまざまな能力を引き出した人種(真魔那 まなま)で空子都の特異性は男と女を兼ねるという点にある
また空子都は文明を発達させたアスカを知っているので同じく滅びた大陸ながらムウの生産も破壊もない平安を求めた
そのため、鷹野に催眠のような術をかけ天音に仕えさせる
鬼幽は不二に入るため、鬼幽は透祜を潜りこませることに(そこには驚くべきからくりがある)
天音なきあと人はいきられるのかという鬼幽は悪を超えた先を見ているらしい
透祜は夜彲王から強い力を持つ陽石(あかいし)をもらって不二の原野へ入る
その陽石の力を使って彼女を縛る神鬼輪を破ってしまう

7巻目
威神の士を不二原野に行かせ、透祜を襲わせ剣を交わらせる
その音に引き寄せられた鷹野ははじめ透祜と認識できなかったが、ついにぼやけた像が鮮明となり透祜を思い出す
透祜は鷹野とともに天音に対面するが、平穏な世界だけでは何も見えないと天音の世界を拒絶する
鬼幽は威神やその士たちを不二に突入させる
その戦いで、威神のもとへ戻った一郎太は那智と呼ばれていたが、ライバル比々希(ひびき)と果たし合い討たれる
那智にとどめをさして魂を救ったのは青比古だった
「人は善神だけに救われるのではなく、それぞれの形で救われるのだ」と鬼幽が悟り、透祜の心中に伝える
そして、「それが心にかなうものなら、私の名を呼べ」と
透祜は鬼幽の神名を受け取っていたため、神名を呼んだとたん、鬼幽が結界を超えて天音の前に現れる
鷹野と透祜は「亜神を取るか、威神を取るか」選ばされ、鷹野が天音をちりとしてしまう
威神鬼幽の素顔は亜神だった
かつて善意では人は救えないと知り、あえて仮面をつけて威神となった神

透祜がトワダへの神路を開き、鷹野と鬼幽もトワダへ入る
そこは見えない神に通じる土地
透祜は夜彲王が迎えにきて、衰えた夜彲王を存続させるため合体することに
見えない神とは情報体の塊のようなもので、情報が拡散して宇宙が消えるのを防ごうとした
拡散する情報をつなぎとめるのは唯一、人間が自ら道を選び取ってゆくことが必要だった
亜神、威神を生み出し、夜彲王を導き手として、進みをとめる方向(宗教的境地による平安)も過激に進む方向(力)も拒み自ら進む者を待っていた
それが透祜と鷹野によってなしとげられたという
ただ、この未来1000万年後には平安を与える神が到来する
その日に、平安を拒絶するため透祜は夜彲王と一体化して、幾度も生まれ変わる鷹野を待つことになった

かつて不二のあった国では、桂がリーダーとなっていた
青比古は生きていたが、心は失ったまま
ある日、空から夜彲王が舞い降りて、青比古にすべての情報を伝えて飛び去る
その夜彲王を桂は、幼くみまかった弟のように思う
青比古は意識が戻り、すべてを伝えようと立ち上がる
ただ彼には桂に一番に伝えることがある(おそらく愛するという言葉だろう)

最初に全巻読んだときは、壮大な物語ゆえに圧倒されてしまった
新たに読むと、最終巻での世界像説明が意外性に富み驚かされるが、ふに落ちないところも
亜神、威神、夜彲王などを生み出すほどの情報体が、人間の進化にまかせるほかないのかという点
まかせるとしても、透祜と鷹野だけが対象となるのも変な感じ
未来に現れる平安をもたらす神とは、情報体以上の存在が宇宙にあると予感させ、説明されないものがたくさん残りそう
水樹さんの硬質な絵柄も物語を型にはめる要因になっている

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