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2017年2月22日 (水)

鳥図明児(ととあける)「虹神殿」81年


「グレープフルーツ」連載1号~11号(83年8月)、パート12、「ハーシ家の夕食」は単行本最終巻(3巻目)の書下ろしの様子

舞台はインドか東南アジア風の小国
有力貴族ハーシ家の一人息子サーナンは父を失い、大統領補佐官のキーヤ叔父が後見人
幼いころから町向こうの神殿にひかれ、今では誰からも見捨てられ荒れているのを修復しようと暇があれば通っている
西洋にならえという時代に、神殿に興味を持ち民族衣装を着るサーナンを世間はバカ若様と言う
大学を最年少で卒業した優秀さを国家発展に向けさせたい叔父は苦々しく思う
財布をすろうとした旧市街のならず者シラト(ひげ男)に親しみを感じたサーナンは神殿の修復の手伝いをさせる

白人のところへ妻が去ってから荒れたシラト、その男を見つけて刺し殺してしまう
逃げ込んだ神殿でサーナンに会い、最上階へ上ると、神殿の主神テセランがサーナンに語りかける
神殿の部屋は光あふれるが、空神は「わたしに期待するな」と言い放って消えてゆく
シラトを追ってきた警察が神殿を囲み、撃たれてシラトは死ぬ
サーナンは彼が連れていた馬をシラトと呼んで連れまわすようになる

やり手の叔父は、母と結託して父を殺した疑いがある
まもなく母もなくなり、それもキーヤ叔父が手を下したかもしれないのだ
冷徹なサーナンは叔父につかずはなれず
口男(この国のスパイ)を利用して政治家たちの思惑を調べる
叔父は、大統領を味方につけ、この国一の資産家で実力者カタール財務長官に対抗しようとしている
そんな叔父の政治闘争に巻き込まれたサーナンには空神の声が聞こえなくなる

二巻目に出てくる石長経済顧問がポイント
サーナンは伝統を重視する石長と気が合い、国に富みをもたらす経済を動かそうとする
もう一人の重要人物がキガラ家のアルシャ、聡明でサーナンの真価も見抜いている
サーナンはアルシャに魅力を感じながらも、カラーズ家に嫁がせる
政治のコマに使われるアルシャだが、サーナンは彼女に主人は趣味人だから好きなようにカラーズ家を動かせと示唆する
国のコーヒー園優遇政策に乗ろうとしたキーヤ叔父に反対して、小麦農地を手放さなかったサーナンははじめて自分の意志を通した

三巻目
サーナンはコーヒーのだぶりによる価格低下、小麦の高騰を見越して大儲けする
一方、カラーズ家はアルシャの働きで領地に作る道路が海岸への輸送路として巨額の富をもたらすことになる
神から人へ、経済を重んじた話に二巻目から変わってくるのが意外な展開
そこで、サーナンの心にアルシャを手放した後悔が生まれ、一瞬、彼女を抱こうとするが
空神の姿がその時よぎる

空神は悪い心に触れようと現れるのか?
物語はかなりの魅惑をみせたところで急速に収束する
パート12、戻ってきた空神主神テセランがなにか勝手が違うと不安を感じるサーナン
コーヒーで大損をしたアルシャの兄がサーナンを銃で脅して撃ってしまう
足を撃たれた負傷でふせるサーナンに思いもよらぬ出来事が知らされる
キガラ氏が急逝し、道路地を相続するアルシャは国随一の金持になる
キーヤ叔父はサーナンにアルシャとの結婚を押し付ける
それはサーナンにとってありがたいことであろうが、今まさに神殿に昇らねばならない思いにとりつかれる
最上階でサーナンが知った事実、先の主神は死んで新しい主神が訪れていたという事実
なんと神でさえ死ぬ
窓から空を見たサーナンの回りでは空神たちが花をまき散らして飛び舞っている
巨大な神の顔像をシルエットに下僕リードンがサーナンを呼ぶ声がこだまするところで物語は終わっている
サーナンは地上に落下したような印象する与えるラストだが

最後に「ハーシ家の夕食」という8Pの後日譚がつく
ハーシ家では貧しい者たちに夕食をふるまっている
それは百人の夕食と呼ばれるほどにたくさんの人たちに与えられる
その気前よさを妻となったアルシャはもうけた金で人から恨まれないようにするためだという
サーナンは空神はむなしく地上を見ているだけだが、自分はなにかしらことができるといくぶん満足げな笑みをうかべる

神から独立しながら世俗まみれにもならないサーナンの生き方はこの後どうなるか興味深いが話はここまで

キャラの顔が安定しないし、構図もずれたり、影付けの斜線もラフ
絵柄がもう少し萌えパターンとかならいいんだけど

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