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2017年3月10日 (金)

柳沢きみお「翔んだカップル」78年


「少年チャンピオン」連載
1巻目
東京の進学校北条学園に入学した田代勇介は、海外出張の叔父の家に間借りする
下宿人を募ったところ、手違いで入居したのが同クラスになった山葉圭だからとんでもない設定のラブコメとして出発
喜劇調は2巻目くらいまでで残りの大半(13巻)は勇介が、人柄が幼い圭と大人っぽい秀才杉村秋美(勇介の呼び方は最後まで、圭ちゃん、杉村さんである)の間で愛情が揺れ動き翻弄されるうち自分を見失い高校生活を過ごすという少年誌(マガジン)では非常に風変わりな趣向の物語だった

勇介はボクシング部、圭はテニス部に入部
圭を好きになったボクシング部のキャプテンが二人の同居を許せず自分も同居することになったのでさらに騒動がヒートアップ
キャプテンにいじめられないよう町のジムでもボクシングを習った勇介はついにキャプテンとぶつかりカウンターパンチをあびせる

2巻目
一方、クラスの優等生杉村さんが勇介に親しげに接近してくる
彼女の住まいに寄ると、マンション一人住まい、眼鏡を取るととっても美人
そのクールな魅力に惹かれていき、キスするまでに
遠足でキスをしている所を友人の中山に見つかり、圭を慕う彼は許せずバス内でばらしてしまう
一人住まいの杉村さんは勇介と一緒に暮らしてもいいと言い出し、勇介も泊まるようになると圭が家を出ると

3巻目
圭は引っ越しはせず、勇介も戻ってきたがぎこちなさは増す
中山は、圭と勇介が同居していることを担任に、担任では握りつぶされると感じて校長にまで密告する
担任は内々にすまそうと勇介に住まいを替えるよう勧告するが
校長にまで及ぶに至って圭も別住まいをすることに
2学期になって杉村はコンタクトに替え、勇介と急接近
友人中山は密告から落ち込んで家に閉じこもりがりがりにやせてしまう

4巻目
圭は責任を感じ、中山に接近するが来ないでほしいと拒否する
隣に越してきた美大生と親しくなるが・・
勇介は圭を思い切り、杉村と行動するようになる

そんなとき、中山が家出、行方不明、やがて鳥取の叔父の所へ行っているとわかり一安心するみんなだが
杉村はアメリカへ留学するし、海を見て元気になって戻ってきた山中はやり直しという矢先、交通事故でなくなるし

5巻目
気落ちしている勇介は両親不仲で家を飛び出した絵里と知り合い暮らすように
中山の死で落ち込んだ圭は退学も含めて故郷へ戻る
そこで気持ちが安らいで復学、勇介にも声をかけられるようになったが
勇介の方は絵里のこともあって圭を追い返す

6巻目
嫉妬した絵里が信号を待つ圭を後ろから車へ向かってつきとばす

絵里から事実を聞いた勇介は、圭に打ち明ける
圭は、絵里が勇介をそれほどまで愛していると知って、勇介が責任を取らなければならないと厳しく言い放つのだった
一方、絵里は勇介に迷惑をかけたと思って距離をおく
勇介の同級生今川が絵里と知り合って親しくなってゆく
(その今川も妊娠騒ぎのあと、絵里と別れることになるのだが)
新学年になる前の春、杉村が留学から帰ってくる

7巻目
二年生になると故郷の同級生だった本郷が圭を慕って北条高校へ転入してきた
バスケ部の大谷も圭に接近して、勇介とは決定的に切れた感じになる
成績で組替えの決まる制度で勇介はびりのクラス
なんとテストを白紙で出したという杉村も8組になっていた
勇介は杉村に引かれ、一夜をともにする

8巻目
ボクシングジムで世話になった町井さんからは、男女には相性があって、杉村さんがあっているのではといわれる勇介
新しい住所を教えなかった圭が訪ねてきた時は、やはり気持ちがかみあわず、杉村さんのところへ行くとウソをついてしまう
夏休み直前、しばしば男が来ているとマンションの住人から知らせが家に行き、杉村は父がやってきて、東京に住むおばの家に押しやられる

9巻目
勇介は長距離ランナー河島と仲良くなり陸上部入部
キャプテン島田が自殺するという大事件
顧問の須藤先生との子供を妊娠していたという噂が立つ(事実無根と後わかるが)

10巻目
この自殺を見て、思い通り生きたいと杉村は叔母の家を出て自活することに
勇介のところへころがりこみ、学校へは行かず
先生があやしみ勇介の家を調べにくるので自分でアパートを捜し、アルバイトを始める

11巻目
一人になった勇介のところには、陸上部の河島や今川が時折泊まりに来るようになる
本郷は圭には好きな人がいるとわかりようやくあきらめることになるが、そこから圭が勇介のことをふっきれないのがわかる
杉村の方は、父も折れ、医師にならないこと、自活することを認め戻ってゆく
いったん認められると自分の反抗はなんだったのだろうと珍しく悩む杉村
杉村には一ツ橋に合格した三年の平岩さんが告白し、つきあいが始まる
勇介はレベルの差を意識して徐々に距離が生まれる

12巻目
3年目前の春休み、故郷に帰らず海を見て戻る勇介
「人生は過ちの繰り返しだ、大事なことはそのあやまちに気づき一秒でも早く修正することだ」と悟り
圭の元に出向くが圭に受け入れられない
三年生では杉村はさすがに一組へ復帰、法学部をめざすらしい
勇介はやけになってウィスキーを飲み、圭のアパートを訪ねてゆく
もうろう状態で抱き付きキスして気絶して介抱されるが何をしたか覚えていない

圭からはほとんど絶交状態に

13巻目
謝りに行って、ひさしぶりに長い間話した二人
少しはよりが戻りそうで、勇介はこの家に戻ってほしいと打ち出す
揺れ動く気持ち、北海道の修学旅行を終え、圭は断ってきた
それでもなんとかともだちでいようということになって
そんなとき、圭のアパートが火事で焼け、隣室の大学生友崎さんと一緒に短期間勇介のところへやっかいになる

14巻目
新しい住所を圭は勇介に知らせてこない
勇介にはおじさんから一月後帰国するという手紙が舞い込む
圭にそれまでまた住んでほしいと頼む勇介
迷った末、また暮らすが、なにかが違うとしっくりこない勇介
一緒に住んでいる実感がわかないことを圭に伝えるが、どうすれば実感がわくのと返されてしまう

15巻目
二学期以降は叔父夫婦も帰ってきて受験勉強に励む
圭とは試験が終わる2月19日まで会わないでいようといわれる

一度、朝早く無理に訪ねてしまい圭にキスするが、好きなようにしたらといわれむなしく戻る
2月過ぎて高熱を出した勇介は三日寝込み、19日を過ごしてしまう
圭から連絡もなく、杉村さんに声をかける気力もなく、入学の実務で田舎へ戻ろうと考える
田舎でも生彩のない勇介、東京へ戻って清和荘を訪ね、なんとか圭と笑顔で再会するが、物語はそこで終わっている
圭とのこれからが多難なものであることを象徴したようなラスト付近の内容

杉村「圭ちゃんにふられたらいつでもわたしのところへきてね」
気持ちの動くままに振る舞う杉村
この杉村、試験成績で組を決めるこの学校で勇介と同級になるため白紙答案を出したり、医学部を目指すだけあって本気を出せば学年一番をやすやすと取る
父の敷いた路線、医学部を蹴った後は迷ったものの、東大法学部に合格するだけの知性を持つ
父親への反抗からマンションを飛び出し、勇介と同棲したり、勇介には圭への思いが残っているとわかると距離を置いてつきあったり
本人の口からも漏れることだが、どう行動するか読めない不思議な性格、本作の魅力は彼女の造形に因る所が大きい

最後までカップル以前の男女を描いたまんがも珍しいが
等身大で悩む青春を描いているという点かなりいいし、随所に出てくて少女まんがみたいに決まるセリフは少年まんがではユニーク
11巻目で勇介は友人、今川、河島と3人で、18歳の大学受験が将来を決めるという話から始まり人生についてまじめに語り合う
こんなきまじめさも少年漫画に類を見ない
本作最大のキャラ杉村さんが勇介にほれるという設定、少し虫がよすぎてこの物語の成立そのものがあやしいという意見もありそう

「新翔んだカップル」83年、大学生活、圭と交際始まるが煮え切らない勇介
「続翔んだカップル」86年、大学中退してプロボクシングの道に進み、圭と別れてしまう
「翔んだカップル21」50歳になった勇介
警備会社に就職してボクサー経験が生きかなりの実績を残している
一人息子の彼女の母親がなんと圭、圭を通じて杉村さんに25年ぶりの再会
圭には夫がいて、杉村さんは未婚の母親、勇介は妻をなくしているという設定で
50歳にして勇介、秋美が結ばれることになるとはーー(080412)

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