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2020年2月

2020年2月27日 (木)

昭和漫画館青虫 019 永島慎二「愛犬太郎」

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貴重図書ケースから最後に選んだのが「愛犬太郎」
「少女」1957年連載の「愛犬タロー」の元バージョンが若木書房のB6貸本単行本
山野井章太が小学校3年生の時、川に捨てられていたのを拾って育てた犬がタロ
かしこく成長したが、家は貧しくタロを東京の大臣に売ることに
そのタロが逃げ出して、遠路章太のもとまで走り続ける
事情を知った大臣の娘は章太に手紙を送ってタロを譲ると告げる

さきに「少女」版で読んでいるが、単行本のほんわかした雰囲気もなかなかいい
復刻がほしい一冊だがちょっと無理そう  

2020年2月23日 (日)

昭和漫画館青虫 018 遠藤信一

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2012年訪問二日目午後は貴重図書ケースから
この訪問で4冊も読んだ作家さんが遠藤信一
他では読むことができないし、この頃知ってファンになった作家
若木書房56年の「カナリヤ」さんは手塚作「ひまわりさん」を思わせる内容
東京にいるという母を訪ねてきたカナリヤさんの苦労話
少女のかわいい絵柄も手塚さん風
同じ56年の「花ふたたび」もそんな絵柄、出て行った母親が戻ってくる話

58年の「母子物語」と「古井戸の怪」はミステリー要素が入る
前者の舞台は圧奢家、前妻がなくなり預けられた娘が引き取られていろいろ問題が起きる
後者は、父がなくなり(財産をねらうおじの犯行)、義母にいいように使われる小夜子
古井戸に落ちた義母を見捨てようとする小夜子の表情が真に迫る異色作
これも、再読したい作品の一つです

2020年2月19日 (水)

昭和漫画館青虫 017 只見の昼食2012

「ビリーパック」まで読み進んだところで早めに昼食
高野館長さんと一緒に美好(みよし)食堂へ
ここは漫画がたくさんおいてあって手にとって読める
というのが高野さんが愛用する理由か
「まんだらけZenbu」にも紹介のあったたんたんメンがお勧めというが
食堂は冷房がなく夏時間は暑いので、焼きめしを頼む
値段は900円と高め、出てきた量は関西でいうと1.5倍はあるくらい
都会のように不特定多数のお客さんがいるわけでない町では単価が高くなるという
日曜ということもあるのか、ここは工事のひとたちでなく
地元の人びと、夏休みで故郷に戻ってきた人たちか、けっこうにぎわっている

館長さんの携帯に青虫訪問希望の人から連絡が入ってくる
車で向かっているというので少し寄り道してもらって、急いで戻ることに

2020年2月17日 (月)

昭和漫画館青虫 016 ビリーパック

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2012年の初青虫訪問の二日目は貴重図書を見せてもらう時間となった
読めるものは限られているので、是非というのが「ビリーパック」
4巻本の復刻はネットで購入していたが、かつて読んだ海底の巻は収録されていない
水中で大きなガラス球に人が入って作業している絵が強く印象に残っている
青虫には連載当時、刊行された単行本がある
海底編が納められている5巻後半から6巻を閲覧する

鋼鉄より強いガラスを発明した松波博士が海底ギャング団に連れ去られた
ガラスの製造法を聞き出し深海で作業できる潜水艇BM1号を製作する
ギャング団は30台の潜水艇を造り、客船を爆破して宝石などを盗み出すといった事件

2020年2月16日 (日)

昭和漫画館青虫 015 貴重図書のケース

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西側の壁はこのくらいで切り上げて、翌日
まずは貴重図書を収納した部屋を案内してもらう
入って左壁に手塚治虫諸本、豆本セット5箱が揃い
真ん中の左側に桑田諸作、「月光仮面」など単行本
真ん中の右側に大城諸作、遠藤信一諸作、永島諸作
右壁に水木諸作や雑誌創刊号
どれも珍しいものだが、高野さんはとりわけ手塚本に愛着がある様子
原本主義でない私などは、手塚作品は全集で読めるとあまり気にしないんだが
短編誌「泉」でも読んだ巴さんの単行本をまず
「盗まれた瞳」、いそじましげじ名義の作品ははじめて
留守宅を守るお嬢さんを病気と信じさせて、高価な絵画を盗もうとするストーリー
ちょっとミステリー仕立てにしてあるのがおもしろい

続けてうしおそうじさんの「大あばれびっくり頭巾」と「ぽっくり物語」
前者は、「朱房の小天狗」百太郎が少年目明かしとして活躍する前日譚といった内容
後者は、姫がなくしたぽっくりを拾った少女ひよりは実は姫の姉妹だとわかるが
お城住まいが退屈なひよりは、親しくなったコマ吉と旅興行へ出るという内容
単行本の3年後に、「なかよし」で連載されるが、一冊で読むとまとまりあって楽しい
このあたりは他では読めない貴重な本でした

2020年2月14日 (金)

昭和漫画館青虫 014 移動階段

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青虫の館内で目につくのが大きな移動式階段
壁一杯の書籍の上の方を取るに、普通は鉄製はしごをかけて上る
高野さんは建物の雰囲気に合わせて木製の道具を望んだという
木製はしごでは重みに耐えられないため、階段となり特注したということ
階段となると大きくなり高さが2m半ほどか、横はテーブル二つ分、3mくらいか
横幅もあって部屋には巨大な装置に見える
移動はけっこうたいへん、すこしずらすのはできても端まで持って行くのは手伝ってもらう
青虫館内については凄いこだわりがあったんですね

2020年2月11日 (火)

昭和漫画館青虫 013 貸本短編誌「泉」

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貸本向けの短編誌があったのはこどもの頃は知らなかった
それも男子向け・女子向けとわかれているのが日本らしい
貸本向けを出版していた書店でも大手の若木書房からは幾種類も女子向けが出ていた
その中でも代表的なのが「泉」
比較的早い刊行の17号には、渡辺まさ子さんの連載、巴里夫さんの短編が載る
59年10月発行
内容は
渡辺まさ子「さくら貝」18P新連載
巴里夫「花の姉妹」28P
たかくらゆり「ふまれても」16P
谷千春「牧場の少女」29P
林栄子「友情の窓」34P
池川伸和「チー子の美容師さん」16P
わたなべくにお「マリとバレー靴」45P
鳥海やすと「ネックレス」20P

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巴さんは60年代になって女性週刊漫画誌から男性作家が撤退していくなかで人気を保った珍しい作家
女の子の気持ちをほんわかと映し出す作風は飛び抜けていました
「花の姉妹」は双子の姉妹のうち、わがままな片方街子が実はもらい子だったという筋書き
実の子美智子がおとなしく、街子が美智子がもらい子だと思い込むが
誘拐事件を通じて、親の愛情を知り、美智子とも折り合うようになる

18号には気になる作家、こだま次吉さんが載るのでそちらも拾い読み
この後、巴さんの「ごきげんシリーズ」のうち「りんごのなみだ」を読みました
おとなりのさぶちゃん中三とは幼なじみのなみっぺ、中一
いつも一緒で水のような存在だが、さぶちゃんが持って値の張るデリシャスを見て自分はすっぱいりんごが好きという
いろんな出来事があって、男の子と認識しない毎日だったが
急にお隣が引っ越しになり、さぶちゃんはお別れになみっぺが好きというりんごをくれる
お別れの時はなんともなかったのが、りんごを食べると悲しさが止まらない
これなど、読んだ時はまずまずと思いながら、余韻がいつまでも続く名作でした
復刻がこの後出てうれしかった一作

女子向けの短編誌が何種類も並んでいるのは大きな窓があるその下の棚
さらに奥に窓がない壁には棚が天井まで設置されていて、男子向けの短編誌が数多く

2020年2月10日 (月)

昭和漫画館青虫 012 貸本短編誌「黒猫」

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個人の単行本はこれくらいでおいて、いよいよ短編誌の一群
まず目に入るのがつばめ出版の「黒猫」
古書店ではあまり見かけない雑誌ですが、青虫には10冊ほどある
手に取ったのが13号、全20号が1956~58年の刊行なので1957年ころか

岡田あきら「非情の街」21P
花咲のぼる「死の晴着」24P
太田康介「狂った犬」24P
中川秀行「善意の影」23P

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岡田さんも気になるが、とりわけ背景の描き込みがすさまじい中川さんに注目
東京での連続殺人事件
犯行には警察のピストルの弾が使われている
敏腕刑事鬼塚一郎がこの事件にも乗り込んでくるが、この刑事自身が問題
妹まり子が、兄の夢遊病に絶望して死ぬという遺言を残して湖に身を投げる
鬼塚刑事は、自分もピストル自殺を図り妹を追う
着いたところは天国、そこで予想通り妹を見つける、妹は兄が犯人だと思って自殺したのだった
犯人が一郎なら、なぜ天国にこれるのか
それに対して、神様がとってもおかしい
一郎は車にひかれそうな赤ん坊をおぶった母を助けた時に頭を打ち、それが原因で夢遊病になる
この善根により、一郎が天国に召されたというわけ
普通なら犯行の推理が主眼になる物語が、天国話に移って行くという
絵柄も変なら、ストーリーも変

2020年2月 4日 (火)

昭和漫画館青虫 011 A5単行本 矢代まさこ

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かつて「COM」での短編でなじんだ
日常生活にしのびよる不安を巧みに表現する特異な作家さんと記憶していた
貸本時代に「ようこ」という名前を持つ少女の物語をシリーズで28作も描いたとはだいぶ後で知った
復刻の「おはぎの嫁入り」しか手に入るものはなかったが
青虫に10冊ほどあって2012年は2冊読んでいる
高野さんの蒐集力では全巻コンプリートできていてもおかしくはないが、作風がいくぶん地味に見えたのかも
それにしても同名の少女を28人も描き分けるなんて、未だにみない企画で、復刻がなされたら再評価されるでしょうね

さて、読んだのは「煙とクレパス」「ずぶぬれの歌」
うち「ずぶぬれの歌」が印象深い
知能発達が遅い少女くるみざわ・ようこ
放浪癖もある生徒で担任の白石君江先生も困ることも
ようこがついていった宇野という男は祭りで傷痍軍人として寄付を集めている
補導員とやってきた白石先生がただすうち屋根から落ちて腕を失ったんだとわかる
先生は詐欺行為をとがめるがようこは腕を失った痛みを気の毒がる
その後のちょっとした事件から男が水害事故で奥さんと子どもを亡くしたのだとわかる
白石先生はようこの方が人の心により深く近づくことができていると知らされるという内容

2020年2月 3日 (月)

昭和漫画館青虫 010 A5単行本 棚下・芳谷・関すすむ

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A5判の棚にはいろいろ興味深い本が並んでいますが、手にとって開くだけでもごく一部
時間が限られるのであと読んだのは3冊
のち、青年・大人向けの漫画で名をあげる棚下照男、芳谷圭児さんの「公園天使」と「双子の天使」を読みました
それに当時はよく知らなかった関すすむさんの「悪魔の追跡」
怪盗バットが透明人間ぎやまん太郎を奪って悪事を働かそうとする
とどろき探偵が出動、バンビというアトムそっくりのロボットにぎやまん太郎を逮捕させる
透明ではわからないのでだまして足を黒く塗るというのは「鉄腕アトム」の「電光人間」編のパクリですね
絵はぽってりしていて脱力しましたが・・
かえって再び、頁を繰ってみたい一冊でした

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2020年2月 2日 (日)

昭和漫画館青虫 009 オオトモヨシヤス

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最初に青虫を訪れた2012年は、オオトモヨシヤスさんの絵にひかれていた
オオトモさんといっても、1950年代後半の月刊誌で少し連載を持ったくらいで
1959年からの少年サンデー・マガジンなどの週刊誌に描かなかったので、あまり知られる存在ではないでしょう
貸本単行本の世界では中村書店から印象深い作品を送り出している
60年代のA5判ではユーモアものが多くなりおもしろくなくなるのだけど

青虫の西側本棚を向こうに進むと、集英社おもしろ漫画文庫の次にA5判の貸本単行本が出てくる
ここに、オオトモさんの作品が二冊ある
56年の「午前0時」と58年の「いのちあるかぎり」
どちらも中村書店出版、オオトモさんは58年から少し絵柄が大きくなり粗くなる
お勧めは「午前0時」
当時、紹介したブログ記事を見直してみるとあらすじは途中で切ってある
その後は最後まで書いてしまうのだが、この頃はお勧め作は結末をふせておく
自分は最後まで読んでいるが、ノート記録も途中までになっているので
なんと、今になって結末を思い出せない
これなど、もう一度読もうと考えていた作品です

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宝石強盗を調べる豊田探偵、その弟ジロちゃん(オオトモさんでの男主人公)
ジロちゃんを訪ねて、作者自身も登場するというのがおもしろい
強盗団は、宝石を奪って世界を平等にしようとする設定がちょっとひねってある
強盗団の首領の妹は兄の悪事を止めようとして・・結末はなんとなくわかるけれどなかなかの作品です

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