アニメ・コミック

2017年7月28日 (金)

山下よしお「泣かぬ星丸」53年

Yamasitay53hosimaru

太平洋文庫8/25発行、130円、B6判128P

幼い頃、盗賊にさらわれたらしい星丸も11歳
盗賊の親方が父として育てていたが、兵隊に攻められ父は死んで、部下権内に連れられ逃げた
権内にいじめられながらあてのない旅をしていたが
権内をまいて、親切な百合江の家にとめてもらう
星丸を見つけて、家へ盗みの手引きをさせようとしたのを百合江の兄大作あ覚って権内を打ちすえる
再び旅を続ける星丸は、けちなフクロウ爺さんの家に泊めてもらう
爺さんは金をしこたまためこんでいて、かぎつけた権内が盗みに入るが
星丸が縛り付け役所へつきだす
また旅に出て、墓参り帰りという小鈴と父に同行し、宿屋で二人が保証してくれて雇ってもらう
そこへ大作・百合江がやってきた
あれから権内が牢を抜け出し、大作家の大事な刀を盗んで逃げたのを追ってきたのだという
権内はかつての仲間、可右エ門(こうえもん)と会って、ある女から星丸を殺すよう頼まれていた
宿屋仕事の星丸は編笠で変装した権内に誘い出され穴へ落とされてしまう
怪しんでつけてきた小鈴が引き上げてくれてこの町を出る

江戸へ来た星丸は不意打ちの話をひそかに聞いてされる侍、三宅勝馬に助太刀する
これが縁で勝馬の弟分になって星丸は侍姿に
勝馬は加賀藩家老の次男坊
町で権内に見つかり追い詰められた路地で急に姿が消えた星丸
ばねじかけの戸で入り込んだ屋敷が百合江のおじさんの家
加賀の出で、かかる掛け軸が星丸の思い出と同じ
星丸は加賀からさらわれたとわかったところで話が進みラストへなだれこむ
星丸を狙う権内・可右エ門が見つけて追い詰める
雇っている女は加賀廻船問屋の後妻
星丸がさらわれてから生きる気力もうせた先妻は隠遁していた
息子が生きていると噂に聞いた後妻が遺産が手に入らないと星丸暗殺を頼み込んだ
後妻と組む剣客が権内たちも始末しようと刺殺したところに使い手勝馬が来て救う
権内が死に際、星丸に事実を打ち明け、星丸は加賀へ戻って母と会い、跡目披露とことが運ぶ

話は何かを参考にしているのでしょう、かなり複雑
山下さんの絵柄は53年でもう充実している

佐藤漾子(なみこ)

佐藤さんは1937年から雑誌に線画中心の挿絵を描いている古参
少しけだるそうな女性像はその後も続く
39年には金子光晴の西洋話に絵をつけ蕗谷風、のちの池田かずお風のモダンな絵柄を見せる
「少女倶楽部」4月号「うつくしい余興」の美しい絵をあげておく

1950年まで線画で簡素な絵を描いて、1951年「少女クラブ」三木澄子「くるみ割人形」で少し塗りが入る
53年「少女クラブ」1月号、船山馨「風に咲く花」から勝山風でさらにとろんとした目(垂れ目)のヒロインとなる
それが57年、58年まで続いて59年から江川みさお風のすっきりした風貌に変わる

特筆すべきは60年「ひとみ」10月号より連載された「どろんこ天使」

ここでは少し硬いながらきっちりした漫画を描いている

2017年7月27日 (木)

岡田晟「鏡獅子」53年

Okada53kagami

8/25発行、130円、B6判128P

孤児のみどりは拾った巻物をお城へ届ける
お城から盗まれた巻物がまわりまわってみどりのところへ舞い込んだらしい
お城へ行くまでに家老の手先が巻物を盗もうとして、取り合いで川に落ちたみどり
川端に住むかっぱ川太郎少年が助けてくれる
川太郎が巻物を取り返し、みどりは巻物を届け、しずか姫の腰元となる(弥生という名前)
殿が川太郎たちに明かすには、先代が仙人から譲り受けた巻物
そこには鏡獅子が描かれ、付属のお香をたくと鏡獅子が巻物から出てきて願いをかなえてくれるという
不思議がるので殿は鏡獅子を出して家老を連れてこいと命じる
空を飛んで家老をつまんで天守閣へすぐさま戻る

その後、家老は手下に巻物を奪うよう命じ、天守閣へ侵入しようとする
それを見た川太郎が殿に告げ、殿は今度は泥棒をつかまえてこいと命じる
家老と手下をひっさげた鏡獅子が戻り、たくらみはあっけなく終わる
最後に獅子に舞を披露させ皆で見物する

内容はかなり単純、絵柄も他の作家さんのように丸い絵で丸鼻の人物たちがゆったり動く
しずか姫だけがとがった鼻筋でいくぶん新しい絵になっている
鏡獅子がぶあいそうで残念

小林秀美

描き出したのは遅めだが、長く活躍する
50年代は目の大きな人物像、60年代に大人向けの雑誌に移って簡素な絵に変わった
54、55年頃の丸顔主人公が印象的
55年「ぼくら」の「真田大助」が連載のはじめ

2017年7月26日 (水)

夢田ユメヲ「奴さん」51年

Yumeta51yakko

太平洋文庫11/10発行、85円、A5判96P

お城に奴に入ったちょろ平、うらら姫の飼い猫お玉の世話かかりとなる
なかなかわがままなお玉の相手は大変で落として気絶させ、息を吹き返さないため切腹と言われ
逃げ出した拍子にお玉をふんで息を吹き返らせて、許してもらう
風呂に入れると泡だらけになって逃げだして姫のところへ逃げ込む始末
次にはお玉が町へ出て行って行方知れず、首を覚悟で姫のもとへ行くとお玉は戻っていた
姫はお玉を町医者に譲り、ちょろ平を自分づきの奴にする
殿はちょろ平を試すため、文箱を届けるテストを与える
途中、すりが追っ手をごまかすためちょろ平の懐へ入れた金銭を殿に届けて正直さでテストは合格する

さて、天守閣から遠眼鏡で町を見た姫はライオンが市中を歩いているとびっくり
危険をのぞこうと釣り竿で引き上げるが、獅子舞の衣装だった
ちょろ平が返しに行くのに獅子に隠れて姫もついてくる
歩き疲れてカゴに乗ろうとした姫は雲助にさらわれてしまう
切腹覚悟で城へ戻ると雲助はお城の侍で、殿が仕組んだ芝居だった
殿がちょろ平を侍に取り立ててやるという言葉に奴を続けますと答えるラスト

岸田ハルミ

登場が1950年代後半なので、人物も大きく描かれ、目もはっきりしている
1960年代以降は学年誌・幼児誌が活躍の主体で、目のくっきりさを特徴としてすこし柔らかい絵に変わってくる
一般雑誌だけをみるとおとなしめだが、貸本系女性誌では江川さんと並んで表紙を飾ったのが印象深い

2017年7月25日 (火)

田中正雄「あみ笠豆助」51年

Tanaka51amigasa

赤本関連は一応終了して、ここから、国会図書館デジタルデータで読めるようになった貸本単行本をまとめてゆく
まずは太平洋文庫

太平洋文庫6/10発行、85円、A5判96P
暇な若様に家老が若い頃の親を探しての旅を話すという設定で始まる
山で熊を退治した豆助、どんぐり力兵エと知り合い道道の旅を続ける
忍術使いの泥棒を棒でとらえるところなど、のち学年誌に連載した「あたまのてんべえ」を思わせる
作者のからくり好きがこの物語全編にいかされる
虎の皮をかぶった追剥を見破り、力試しの男をやりこめて
山賊は木のブランコでけとばす
川の落とし物を大きなタルを使って拾ってあげて、橋がないと困る人々のため小タルを連ねて橋を渡す
ついてきた力兵エは実の父親が変装していたのを江戸に入る手前で明かし、二人で母に会いに向かう

51年になると田中さんの絵はすっきりまとまり完成形に近い

大木けいり

1955年の「少女」にだけ掲載が認められる
1月号から連載、小旗風彦「花の輪にいのる」でデビューしたのか
1月号はデジタルデータになく、2月号の絵がすばらしく美しい
田宮夫人に呼び止められ屋敷に招かれた笛子
笛子の父は金がからんで仲間を殺して自首するつもりだが、笛子をなんとかしようと踏み切れないでいる
笛子には双子の妹鳩子がいて母とどこかで暮らしているらしい
田宮家に出入り禁止になっている姪の朱実が来ていて夫人と口論になって追い返される
夫人が笛子を養うことになり、朱実の養父が田宮家の金を狙っているという出だし

8月号が最終回で、宝石泥棒の疑いをかけられ家を飛び出した笛子は豆売りのおばあさんを介して双子の鳩子と出会う
父の置き手紙で母は大阪の曾根崎にいるとわかり再会しに向かう

9月号からは写真と合わせた挿絵を描いていたが、この年一杯で消えてしまった
「花の輪にいのる」でも連載がすすむにつれ、他の作家と同じような絵に近づき、はじめの斬新さがなくなる
絵に対するいきずまりが、挿絵から別の方面へ向かわせたのかも知れない

2017年7月24日 (月)

中西正夫「魔境探検隊」49年(プランゲ文庫)

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大玄社8/25発行、60円、64P
撮影隊が三度も失敗したと、おじさんに頼まれて魔境へ出発した不二男たち
飛行機が落ちて、考古学探険の宇曽月氏・ジョセフ氏一行と出会う
宇曽月氏が先駆けして白骨死体が持つ帝国の地図を手に入れて進む
崖の下にセンチメンタル帝国が見えた不二男たち
宇曽月氏が鉄砲で撃ってくる
なんとか助かり、崖をはいあがって、帝国へ入って行く
死骸のある洞穴の奥、宇曽月氏は大蛇に襲われ瀕死の状態
あとを追う、不二男たちは足を切って救う
命が助かっただけありがたいとようやく反省した宇曽月氏は一行と帝国をあとにする
不二男は頼まれた魔境撮影に成功、宝は大蛇が守ったまま

岩田浩昌

1950年に明朗小説に書いた挿絵から始まるように、明るい絵だった
53年「3年ブック」で久米元一作「女王のかんむり」を手がけた頃からリアルな絵になる
60年代も「少女フレンド」など週刊誌で塗り系統の挿絵で活躍した
これといって印象に残る作品がないが、岩田さんはごく初期には漫画も描いている

1951年「少女ロマンス」1月号「ユリちゃんのあみもの」

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